令和6年度 8020運動ポスター

ポスター審査員

栗原 良彰 先生(東京藝術大学社会連携センター特任准教授)
増田 金吾 先生(東京学芸大学名誉教授)
伊藤 達矢 先生(東京藝術大学社会連携センター特任教授)

最優秀賞

古川 琴姫さん

受賞者のコメント
小さな幼い頃の“わたし”と80歳の“わたし”が抱き合った構図にし、80歳になった自分の歯をいままで守り続けてきたのは過去の自分であること、未来の自分の歯を守れるのは自分だけであることを表現しました。また、歯の形と清潔感ある背景色で表現しました。
栗原先生のコメント
歯のイラストの中で抱き合うように収まる二人の姿が、微笑ましいですね。「歯を大切にしよう」と呼びかけ合うようなやさしいつながりを感じさせます。手描きで丁寧に、ムラなく色を塗るのは緊張感があったはず。職人技が光る作品です。
伊藤先生のコメント
ポスターを通じて訴えたいことや主張が、観た人の心に真っ直ぐ届くようなすばらしい構成とデザインです。青、紫、水色と、同系色でまとめた色味も、全体として落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
増田先生のコメント
二人の描き方がとてもユニークでいいですね。色彩にも統一感があり、イラストやキャッチコピーを含めて訴求力が強く、完成度の高い作品です。印刷ではなく、手描き特有の温かみもじんわり伝わってきます。

優秀賞

  • 丹生谷 瑛香さん

    受賞者のコメント
    幼い頃から歯を大切にする重要さを教えてくれた家族への感謝の思い。そして、元気な歯で笑顔でいてほしいという思いから、このポスターを制作しました。
    栗原先生のコメント
    柔らかく、温かみのある色調がやさしい印象を与え、光の加減もうまく表現できています。家族が揃っていつまでも笑顔でいられるように、歯を大事にしようというメッセージもしっかり伝わってきます。
  • 富田 悠愛さん

    受賞者のコメント
    笑った時に歯が見えることを「一生物の宝物を見つけた」と表現し、80年後も自分の20本の歯とともに笑顔でいてほしいという 思いを込めました。
    増田先生のコメント
    歯や口の中を強調した子どもの表情が、愛くるしくていいですね。歯を「宝物」と表現した工夫、絵と字の色彩の調和も見事で目を引きます。作者の思いがしっかり伝わってくる力強い作品です。
  • 和田 勉さん

    受賞者のコメント
    自分もあと何年かで80歳になるのに入歯でははずかしいという思いを考えて、よりインパクトと分かりやすさを強調した絵の感じをだしたポスターを作成しました。
    伊藤先生のコメント
    エネルギーや生命力に満ちあふれていて、胸を打たれました。人の表情も生き生きとしていて、他の作品と比べても力強さが際立っています。「8020」の文字にうっすら影を描くなど、細かい工夫も目を引きます。

入選

  • 今田 希海さん

    受賞者のコメント
    パステルと色鉛筆を多く使うことで絵本のような暖かみを演出しました。子供の落描きのようなタッチで歯磨きの大切さをアピールして目を引くデザインを狙いました。
    栗原先生のコメント
    クレヨンで描いた子どもたちが、スナップ写真の中に収まっているように見えます。そのアイデアとともに、左上のクレヨンに「8020」の文字を入れたりと細部に工夫も。歯を想起させる「白い笑顔」という文言も いいですよね。
  • 金藤 莉那さん

    受賞者のコメント
    大切な家族と美味しい食事をして、同じ感情を分かち合いたいと思い制作しました。私も自分の歯を大切にして大切な人と食事を楽しんでいきたいです。
    増田先生のコメント
    スイカの赤、「8020」など文字の緑、洋服の白、背景の薄茶色。この色彩のバランスと2人の表情が、画面構成としてうまくまとめられています。「一緒に食べて生きたい」 と、あえて“生”と書いたアイデアも秀逸 です。
  • 李 偲璟さん

    受賞者のコメント
    80歳になっても、もっと笑って! 笑顔になれ!
    伊藤先生のコメント
    オリジナリティ、個性を強く感じる作品です。にっこり笑った表情がいいですよね。縁を囲う歯のイラストなど、しっかり塗り込むというより、色紙にサッと描いたような軽やかなタッチも独特で魅力的です。
  • 尾首 愛さん

    受賞者のコメント
    80年後も輝く歯と一緒に幾つもの思い出を織りなせたらという想いで描きました。自分の歯との輝く未来を想像し、大切にする人が増えたら嬉しいです。
    栗原先生のコメント
    女性のしっとりとした表情、抱きかかえられる歯を模したキャラクター。どちらもやさしく、愛くるしくて印象的です。「8020」の文字を服の柄のように描いたり、白黒の色味にうまく濃淡をつけたりと随所に工夫も見られます。
  • 山口 玲奈さん

    受賞者のコメント
    「世の中にある、たくさんの“おいしい”をこの先も楽しむ」をモットーに制作しました。描いたすべての食べ物がおいしく見えるように色を置きました。
    増田先生のコメント
    パッと目に飛び込んでくるのは、カラフルな色味です。また、ハンバーガー、そして周りにはおいしそうな食べ物がびっしり。「いつまでもおいしく味わいたい」という、8020運動の大切さをうまく表現できているように思います。
  • 西松 歩実さん

    受賞者のコメント
    この度はこのような賞をいただき、とても光栄です。20本の歯のイラストの中から、お気に入りの顔を見つけて楽しんでもらえるように制作しました。
    増田先生のコメント
    赤ちゃんがいたり、サングラスの人がいたり、それぞれにいろんな表情があって、観ていて楽しくなるような作品です。「いっぱい笑おう」というメッセージを、さまざまな歯のイラストを使って上手に描いています。
  • 酒元 菜奈さん

    受賞者のコメント
    我が子の笑顔や成長を守り続けたいと願う母親の想い。私の母が与えてくれたような、歯磨きを通した子を大切に思う感情を作品で大切に表現しました。
    伊藤先生のコメント
    手描きの柔らかいタッチでそのよさを生かしながら、イラストとして高いクオリティを保っている点に感銘を受けました。統一感のある色彩、「8020」の描き方、親子に見える2人の表情。どれもすばらしく、好感 を持ちました。
  • 廣内 一葉さん

    受賞者のコメント
    小さな子供も、おじいちゃんおばあちゃんも、歯の健康を守るために歯みがきや歯の手入れを続けてほしいという思いを込めて丁寧に描きこみました。
    栗原先生のコメント
    漫画のタッチで描かれた歯ブラシと少女の瞳が、ポスター全体に力を与え、絵の中で今にも動き出しそうなスピード感や躍動感があります。キャッチコピーの文字に強弱や緩急をつけているところも上手ですね。

総評

栗原 良彰 先生(東京藝術大学社会連携センター特任准教授)
応募数が増えても、似たタイプの作品は目につきませんでした。オリジナリティの幅がどんどん広がっているように感じます。そのおかげで楽しく、集中して審査できました。来年度も、さらにバラエティに富んだ作品の応募を期待したいです。
伊藤 達矢 先生(東京藝術大学社会連携センター特任教授)
このコンクールを通して、幅広い世代の人が8020運動に思いを巡らせてくれたのはうれしいですね。一人ひとり、きっとご家族と話したり、友人に披露したりしたはずです。8020運動を誰かと共有する瞬間が、全992作品分あったと考えると、それはとても大きな成果ではないでしょうか。
増田 金吾 先生(東京学芸大学名誉教授)
歯の健康について直接的に描くのではなく、作者一人ひとりのストーリーや生活があるのがよい。観ていてそれを感じられるのが、非常にいいですね。今回もユニークな作品がたくさんありました。引き続き模倣ではなく、オリジナリティーをどんどん追求していただきたいですね。