そもそも歯石って？？？

歯の表面に付着している細菌が増殖して固まりになります。これがプラーク（歯垢）と呼ばれます。プラークに唾液のミネラル成分（カルシウムなどが）沈着し、徐々に硬い歯石に変化します。歯垢は歯磨きで取り除くことができますが、歯石は歯磨きではとりのぞくことができません。
歯石は硬く無機質のようですが、病原細菌を内部に含み、歯周病を悪化させ、ひいては歯周病から口臭の原因にもなります。
となると、磨き残しが原因でもある歯石がついている人は「むし歯になりやすい！」となるはず！？
でも、本当は・・・必ずしもむし歯が多くはありません。
なぜでしょう？？？

歯科受診する方で歯石が多いにもかかわらず、むし歯経験がほとんど無い人が見受けられます。
むし歯は砂糖や糖類を摂ると、むし歯の原因となる細菌が酸をつくり、この酸によって歯はダメージを受けてむし歯が発症します。
一方で、唾液中のミネラルイオン（主にカルシウム）濃度が高く、pHが下がりにくい（酸性の傾向が弱い）と歯石が付きやすくなります。糖類の摂取や間食が多いとお口の中の唾液プラークが酸性に傾く時間が増えるので、歯石の付着よりむし歯になりやすい傾向があります。
「○○年ぶりに歯科受診しました」という方の中には、確かにむし歯が少ない方がいます。しかし、歯石の付着があり、歯周病の傾向がある方も見受けられるのは、こうした背景もあるのです。

しかし、誤解はして欲しくないのですが、「歯石が多いとむし歯になりにくい」のではなく、歯周病とむし歯は相反する過程があるので、それぞれの原因に対する磨き残しのないブラッシングと適切なフッ化物配合歯磨剤の利用が大切ですね。