インタビュー13インタビュー時年齢:76歳(2017年2月28日)
再生時間:02:46 アップロード日:2017年12月04日
そんなんで随分、あのー、さっき話したみたいに歯には泣かされたねえ。入れ歯になって、もうほんとにうれしかったのはねえ、煎餅食えるようになったことだよ。あとねえ、南京豆、落花生。煎餅なんかじじくさい、あのー、お茶に浸してさあ、ふにゃふにゃになったのを食べたんだもん。食べてたんだから。
――お湯につけて食べたりなんかしなきゃいけなかったころが何歳ですか。
30代の始めだねえ。
――そのぐらい。
歯がねえ、歯、全部で何本あんのかな? 16本しかなかったのが半分だよね。30何本あんでしょ、あれ。
――はいはい。32本ありますね。
あ、32本なの。うん。
――はい、全部生えれば。
抜くときにね――40んときに総入れ歯にしたんだから――抜くときにねえ、16本しかないぞって言われたんだよ、医者に。だから半分だよね、約。そんでねえ、体に差し障るから、虫歯は食ってねえけどこれ、歯槽膿漏(のうろう)になってて、歯茎がもう落ちてるから、もう歯が長くなっちゃってさ、ぐらぐらだったの。
で、「抜くしかないね」って歯医者に言われて、「2本ずつ抜いてくれ」って言ったら、「1本ずつって決まってんだ」って、あの当時ねえ。もう30数年前の話だねえ。で、いやあ、もう何日もかかったんじゃ嫌だからさってんで、「じゃ、経過見ながらやってみよう」なんて2本ずつ抜いてくれて。ほんで、肉が上がると次また抜いてね。で、夏の暑いときにもう会社へマスクしてったよ。「何やってんだ、お前、暑いのに。暑苦しい」なんて言われてさ。こっちも都合があんだよ。歯がないからねえ。
あの当時の会社の近くのうどんばっかり食ってたよ。うどんがね、抜いたばっかりの歯の間へ入っちゃうみたいな気がしてさ。穴ぼこが開くでしょ? それがうどんのカスが入っちゃうみたいでさ。で、こう、歯茎がうどんのカス入れながら、あのー、歯茎がこう、ぐーっと締まっちゃったら腐ってどうかなっちゃうなあって心配したりしてねえ。ようじで穴んとこ掘ったりよくしたよ。歯の抜いた後ね。すぐ肉が上がるわけじゃないんだよね。あのー、気が付くとまだ穴が開いててさ。全部きれいに歯が入ったときはうれしかったねえ。