インタビュー12インタビュー時年齢:40歳(2017年2月27日)
再生時間:03:06 アップロード日:2017年12月04日
歯っていうのはなかなか、あのー、プライベートの器官なんだなあって、思います。自分の経験を通しても。
――他の人ともそんな、あんまりね、話さないですよね。
そうですね。あの、人にもよりますけれども、はい。うん、本当でしたらこう、もっともっとお話ししたかって、人に聞いてもらってこう、気持ちが、あの、楽になることもあると思うんですが、あんまり悩みが深くなってしまうとそれもなかなかできなくなってしまうっていうのを、自分は、自分の歯を通じて思っています。
――何が一番つらいのかなあって。お金のことも今話されたし、えー、うーん、だけど、それが一番ですかねえ?
何が一番なんでしょうねえ。やっぱり…うーん……お金も大事ですけれども、やっぱり、歯っていうのがその人の尊厳に関わる部分だからじゃないかって思いますね、はい。
――尊厳。
はい。あの案外こう、後回し、なおざりにされがちだけれども、実は生きていく上でとても大事なもの、はい。
あのー、妊娠中はちょっとインプラントは入れられないっていうことで、あのー、入れ歯を作ったんですが、もうこれはとてもやっていけないって思いましたね。はい。
――それはどういう感じだったんですか。
違和感と、あとはやっぱり常に人に、あのー、気を使ったりとか。あのー、この若さで入れ歯だって分かってしまったらどうしようって。だから、やっぱり堂々と生きることができないって、はい。
――見た目でやっぱり入れ歯って分かっちゃいそうな感じですか。
そうですね。自分が気にしてるほどじゃないかもしれないって、あの、歯医者さんは「分からないですよ」って、あの、「バネも見えないですよ」って言われてはいたんですが、見る人が見れば分かるっていう状況でしたね。
――じゃ、そのことがやっぱりほんとに自分のセルフイメージみたいなものに…
はい、そうですね。
――大きく影響するということですかね。
もう、入れ歯でも生きていけないわけではないけれども、生きていく上でほんとに大事なものだっていうのが、もう失ってからよく分かりました。