インタビュー時年齢:79歳(2016年3月26日)
父が戦前都内で歯科医院を開業していたが、戦時中の強制疎開で北関東に移り住み、のちに歯科医師の夫を紹介されて結婚した。息子も歯科医師となって、10年ほど前に亡くなった夫の歯科医院を継いでいる。現在は一人住まいだが、友人たちと趣味に旅行に出かけることも多く、多忙な日々を過ごしている。
体質的なこともあるのか、子どものころから歯は丈夫で、むし歯で歯が痛くなるという経験をしたことはなかった。歯磨きは朝晩きちんとしていたが、今のように毎食後磨くなどということはなかった。戦時中は甘いものなどなくて、おやつにさつま芋やするめなどを食べていたのがよかったのかもしれない。
結婚してからも長い間、歯が痛くなるようなことはなかった。初めて歯を抜いたのは、60代になってから、横向きに生えていた親知らずが痛くなって、夫に抜いてもらったとき。その後は年齢とともに、歯肉がやせて歯が痛むようになることが多くなり、歯科治療を受けることが多くなった。歯を抜いてブリッジにしたところもあり、残っている歯にあまり負担をかけないよう、堅いおせんべいは避けるようにしたり、柔らかいお肉を食べるようにしたりしているが、特に噛むことで不自由を感じることはない。
歯のケアに関しては、今も朝晩普通の歯ブラシで磨いていて、食後は磨けるときは磨くが、うがいのみのこともある。歯間ブラシやフロスなどは使っていない。定期的な歯科検診などは受けていないが、自宅に併設された歯科医院に息子が毎日通ってきているので、ちょっと痛いような気がしたら、すぐに診てもらえるので安心。また、夫の歯科医院の手伝いもしていたので、どんな治療をするかはわかっていて、怖いと感じることはない。今は機械もよくなっているので、治療の時間もかからない。戦後間もなく頻繁に停電した頃は、痛みで待てない患者さんが見えると、足踏み式の機械で歯を削って治療していたのを思い出す。
歯を抜いたことも影響してか、年とともに若い頃より歯並びが悪くなったが、総入れ歯にしてきれいにしたいとも思わない。やはり歯がよければ、何でも食べられるので、栄養的にも偏らないで健康にいいのだろうと思っている。