インタビュー時年齢:85歳(2016年2月29日)
戦後間もなく、子どもがまだ幼い頃から食や環境の問題に関心を持って、自分たちの代理人を議会に送りだす市民運動に携わってきた。85歳の現在も現役で、市民の目線から政治や経済の改革に取り組んでいる。
子どものころは、歯磨きといえば朝起きたときに磨くものと思っていて、歯が痛くなったときも歯医者さんに行って痛み止めをもらうだけの治療だった。当時は、歯は痛くなれば治す、という程度の認識で、今のようにむし歯や歯周病予防のための「勉強」をすることはなかった。
現在の歯の状態は、残っている歯を数えたほうが早いくらいで、上下に部分入れ歯が入っている。歯を失ったのは40歳ぐらいの頃。夫の転勤で関西に住んでいたときにかかった歯科で、一度に4~5本削られてしまったが、再び転勤になり、治療が中断してしまった。すぐに新たに歯科を探してきれいに治療すればよかったのだろうが、削ったところに簡単な詰め物がしてあって、痛みも治まっていたので、そのまま何年か過ぎてしまった。転勤の引っ越しに加えて、義母を自宅に引き取ることになったり、市民運動のほうも大変忙しい時期だったりしたので、歯のことまで手が回らなかった。
当時の歯科は今とは違って、対症療法的な対応が多くて、全体的に歯を見ながら、こういう状態だからこのように治療していく、といった診断と治療方針の説明がなかったと思う。今かかっている歯科医院では入れ歯の調整中だが、入れ歯の素材にどういうものがあるとか、詳しい説明が受けられる。また、病院の口腔外科との連携があって、年に1度の健診では、歯の検査だけでなく、口の中のいろんな病気の検査をしてもらえる。歯医者というと歯だけと思いがちだが、もっとトータルに人間を診るような医療が今後重要なのではないかと思う。
食べ物については、歯が弱ってもむしろ硬いものを噛まないといけないのではないかと思っているので、選り好みせずに食べている。最近、歯ぐきが痩せてきたのか、入れ歯が緩くなってきた。実母も歯はよくなくて入れ歯だったが、102歳で亡くなる10日くらい前まで自分で噛んで食べていた。歯の健康には歯ぐきや頬の筋肉の状態なども影響すると思うので、自分も今の状況を維持するためにはどうすればいいのか、勉強しなければいけないと思っている。