インタビュー09インタビュー時年齢:54歳(2017年1月15日)

#02 手術の後は食べ物との闘いで、最初はスプーン一杯のゼリーを飲み込むのも一苦労だったが、嚥下訓練を頑張って退院時には普通食が食べられるようになり、医師に驚かれた

再生時間:03:30 アップロード日:2017年11月09日

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インタビュー

あとは、闘いは食べ物との闘い。始めは、あの、鼻から胃までチューブが通って、何かどろどろのコーヒーみたいな変なの、栄養剤みたいなのが、胃に入れるんですよ(笑)。それなんですけど、あのー、あれは1週間ぐらいたってから、初めて、あのー、飲み込みの嚥下の、始まるんですよね訓練が。
 で、最初、あのー、ゼリー。小さいゼリーを、こんな小さいゼリーを半分くらいですよね。あの、スプーンでこう、こうやってやりなさいと、少し(体を)ななめにして顔はこう前に向けてて、喉が一番ひらく格好にして。それでスプーンに入れて、飲むっていうのやるんだけど。全然飲めないんですよね。30分格闘して、あの小さいゼリー半分飲んで。あれはショックでしたね。あれもう、食べるものとか飲むもの、口から入れらんないんだと思って。で、言ったら、まあ看護師さん「大丈夫だから、何とかなるから」って。リハビリの先生が毎日付いてやるんですけど。あれはもう嫌だ、もう飲めないのだけは嫌だと思って。
 で、あの、だんだん飲めるようになって、ゼリーも増やして。あのー、もう何が何でも飲んでたんで。で、あと、どんどん頑張って飲むから、間違えて気管のほうに入って、で、むせちゃうんですよ。むせんのはいいんですけど、肺に入っちゃうと、そのまま肺炎になっちゃうんで。これが一番危険だって言われて。

よく、あのー、おじいちゃんおばあちゃんでも嚥下障害にみんななってくと、あの、みそ汁でもお茶でも、みんなその変な薬入れてドロドロにして、あの、とろみを付けて飲むやつがあるんですよ。全部あれに入れて、そうしないと飲めないんですよね。さらっとしたのが入ると、喉がちゃんと動かないから、すぐ気管に入っちゃう、で、すぐむせちゃう。まずい、何かおいしくないんですよみんなね、あれにしちゃうと。でも、しょうがないから、そういう。それも嫌で。もうとにかく、あのー、そういうのも全部完食して、何とかしようと思って。「どうですか先生、もう少し」って言いながら、じゃ、三分粥ぐらいなら五分粥ぐらいならって、どんどんして。
 まあたいてい、話を聞くと1カ月入院しててみんなせいぜいね、離乳食ぐらいのが自分で飲めるようになると退院なんですけど。それで退院させられても困るなって思って。それで僕、1週間前に、退院1週間前に普通食、もう相当無理やり食べてましたけど。でもね、食べられるんだから。えー、全く普通の病院食、普通食にしてもらって硬いご飯で、「すごいね」って言われたんですけど。まあそれでも、「もう食べようとかっていう意志が、ほんとにね、病気もそういうもの克服するんだと、改めて分かりました」って先生にも言われて。

プロフィール

インタビュー09
インタビュー時年齢:54歳
(2017年1月15日)

IT関係の会社を経営。現在は首都圏で仕事をしているが、仕事の都合で関西地方に住んでいた2015年秋に、喉に痛みを感じて受診。中咽頭がんと診断され、東京の病院で口腔手術と放射線治療を受ける。治療の影響で、最初は発話や食事に苦労したが、現在は大分回復している。上手くしゃべれないこともあるが、相手が一生懸命聞こうとしてくれる。かみ合わせの感覚が回復し、口を閉じていられるようになり、集中して仕事ができるようになった。歯はあらゆることに影響していると感じる。