CHAPTER4
歯周病と全身のさまざまな病気
歯とお口のケアで病気のリスクを下げる
歯周病の怖さは、歯を失うリスクが高いだけではありません。歯周病が体のさまざまな病気に影響していることがわかってきています。歯周病と全身の病気の関わりについてみていきます。
糖尿病
歯周病の進行により産生する炎症性物質が血液中に入ると、インスリンの働きを低下させるため、血糖値が下がりにくくなります。
心臓病
動脈硬化を起こす要因の1つとして、歯周病が影響するといわれており、心臓に血液を送る血管が狭くなったり(狭心症)詰まったり(心筋梗塞)します。
また、心臓の内膜に歯周病菌がつくと、心内膜炎を引き起こし、命に関わることもあります。
骨粗しょう症
骨密度が低くなり、骨がもろくなる病気で、歯周病によって産生される炎症性物質が、全身の骨の代謝に悪影響を及ぼすことが要因の1つと考えられています。
肥満
歯周病が進行している人は、メタボリックシンドロームの発症が高まるとの報告があります。
*メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満に加え、高血糖、高血圧、脂質異常などの動脈硬化の危険因子が2つ以上重なった状態をいいます。
脳梗塞
脳の血管が詰まったり、心臓にできた血栓が脳に送られて血管が詰まったりする病気で、歯周病にかかっている人は、そうでない人と比較して、脳梗塞になりやすいという報告があります。
認知症
動脈硬化を起こす要因の1つとして、歯周病が影響するといわれており、脳血管性認知症の原因になる可能性があり、また、アルツハイマー型認知症との関係について可能性があるとの報告もあります。
誤嚥性肺炎
歯周病菌などのお口の中の細菌が、唾液や食べ物と一緒に誤って気管に入ると、肺炎発症のリスクが高くなります。
関節リウマチ
多くの研究から、歯周病の人は関節リウマチのリスクが高いことが報告されています。
低体重児出産・早産
歯周病によって産生された炎症性物質が血液中に入ると、低体重児出産が起こりやすくなります。
また、血液中に子宮の収縮を早める物質が生まれるため、早産も起こりやすくなるとされています。