PART2高齢者のお口の特徴
高齢者に起こりやすいお口のトラブル
歯周病・むし歯
歯周病もむし歯も、細菌(歯周病菌、むし歯菌)によって起こります。高齢期には唾液の減少や入れ歯の汚れなどによって、お口の中で細菌が繁殖し、歯周病やむし歯が発生しやすくなります。
また、歯周病などによって歯ぐきが下がると、歯根が露出します。歯根はむし歯菌に対する抵抗力が弱いため、むし歯になりやすくなります。
「8020」を達成するには、お口の手入れを徹底することが一番大切です。
ドライマウス
高齢になると、噛む力の低下や薬剤の影響などによって唾液の分泌量が減るため、お口が乾く、食事がとりにくい、発音がしにくいなどの症状が現れやすくなります。唾液の分泌を増やすには、よく噛むことです。
唾液の働き
- お口の中の乾燥を防ぐ
- 消化を助ける
- 食べ物を飲み込みやすくする
- 発音をなめらかにする
- 食べかすを洗い流す
- 酸によって溶け出した歯の表面を修復する(再石灰化)
- お口の中の細菌の増殖を抑える
- お口の中のpHを中性に戻し、むし歯の発生を抑制する
- 入れ歯の密着度を高める
歯周病菌やむし歯菌は全身に影響を及ぼす
お口の中の歯周病菌やむし歯菌は、血液によって運ばれ、全身にさまざまな影響を及ぼすことがわかってきました。
誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎とは、食道から胃に送られるはずの食べ物や飲み物、唾液などが、主にお口の中の細菌といっしょに気道内に入ってしまうことで起こる肺炎です。
高齢になるとのどの筋肉が衰え、物を飲み込む機能(嚥下機能)の低下で発生しやすくなります。70歳以上の肺炎患者の7割以上は誤嚥性肺炎※で、今後、
誤嚥性肺炎による死亡者は増加すると考えられています。しかし、誤嚥性肺炎は下のグラフで示されるように、お口の中を清潔にすることで発症リスクの低下が明らかになっています。