歯みがきの目的は歯垢のお掃除
歯みがきが十分にできていないと、歯の表面にネバネバとした歯垢(プラーク)がつきます。この歯垢は歯周病菌やむし歯菌などの細菌のすみか。毎日のケアで、早めに取り除きましょう。
歯垢の中で増殖した細菌は酸や毒素を出し、歯肉を腫れさせたり、歯や歯を支える骨が吸収したりする原因となる。
歯垢は歯みがきで落とせるが、歯石はプロでないと落とせない。歯垢や歯石を落とせば、むし歯を予防し、歯肉の炎症が治まる。
さまざまな口腔ケアグッズ
ハブラシの毛先が届きにくいところは、デンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシを使いましょう。
- デンタルフロス
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- ❶歯と歯の間にフロスを入れ、スライドさせながらゆっくり下ろす。
- ❷歯に沿わせて、上下に数回動かす。
- 歯間ブラシ
- 斜めにゆっくりと差し込み、前後に動かす。
歯間のすき間に合ったサイズのものを。
歯間ブラシ
毎食後、入れ歯のお手入れを
入れ歯についた汚れをそのままにしておくと、細菌の温床になり、歯ぐきに炎症が起きる原因になります。入れ歯に歯垢がつくと、残っている歯がむし歯や歯周病になりやすいため、つねに清潔にしておくことが大切です。
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❶入れ歯をはずして流水で洗い、専用のブラシで軽くこすります。部分入れ歯の場合はクラスプ(バネ)もていねいに。清掃は、毎食後行います。
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❷寝る前は、❶を行った後、入れ歯用保存容器などのケースに入れ、水に浸しておきましょう。入れ歯洗浄剤を使用するときは、容器またはコップに水と洗浄剤を入れ、決められた時間、入れ歯を浸しておきます。
高齢者もフッ素は重要!
年齢を重ねると歯ぐきが下がり、セメント質と呼ばれる弱い部分が露出して、むし歯になりやすくなります。また、治療済みの歯もケアが不十分であれば、再びむし歯になってしまいます。高齢者にも、むし歯予防効果のあるフッ素は重要です。フッ素濃度は高いほうが効果はありますので、1000ppm以上のものを選びましょう。
歯みがき後のすすぎは軽く1回、歯みがき後1~2時間は飲食を控えましょう。寝る前に使用すると、フッ素が歯に長く留まるので効果的です。
(注)インプラントの場合は、歯科医に相談してください。
セルフケアとともに大事なことは、定期的に歯科医院を受診し、健診や歯みがき指導を受けることです。その結果が低栄養を防ぎ、健康的で質の高い生活の実現につながります。
ご存じですか?プロのケア
歯科医院では、セルフケアでは取りきれなかった歯垢や歯石を、専門の器具を用いて取り除きます。これを、PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)といいます。
ぜひかかりつけ歯科医を決めて、定期的にケアを受けましょう。
入れ歯を調整して快適に
入れ歯に違和感や痛みなどの不具合はありませんか?
入れ歯だから仕方ないと、がまんしたり、あきらめたりせず、歯科医と相談しながら、快適な入れ歯になるように何度も調整してもらいましょう。たとえ「8020」が達成できなくても、入れ歯でしっかり噛めることが大切です。
お口の悩みは気軽に相談を
歯医者さんはむし歯や歯周病以外でも相談にのってくれます。次のような悩みや不安があるときは相談してみましょう。
- 口を開閉するときのあごの痛み
- 噛み具合
- 飲み込みにくさ
- 口内炎
- 口臭
- 味覚や舌の違和感
- 口の渇き(唾液の分泌が少ない)
- 介護が必要な人のお口のケア など
お口のケアでフレイルを防ぐ
新型コロナウイルス感染症対策としての自粛生活が長引いた結果、高齢者の「生活不活発」による健康への影響が心配されています。動かないでいるとフレイルが進み、筋肉量の低下、活動量の減少からますます低栄養になるという悪循環に陥ります。また、抵抗力が低下するため、感染症にかかりやすく、重症化もしやすくなります。
正しい歯みがきとお口まわりのトレーニング、そして1日3食、しっかり噛んで食べることがフレイルを防ぎます。お口の健康を守って、充実した毎日を送りましょう。