8020読本 人生100年時代の8020 ~高齢者の栄養管理~

PART3低栄養を防ごう

自分の歯でしっかり食べるために

セルフケア
プロのケア

歯みがきの目的は歯垢のお掃除

歯みがきが十分にできていないと、歯の表面にネバネバとした歯垢(プラーク)がつきます。この歯垢は歯周病菌やむし歯菌などの細菌のすみか。毎日のケアで、早めに取り除きましょう。

歯垢の中で増殖した細菌は酸や毒素を出し、歯肉を腫れさせたり、歯や歯を支える骨が吸収したりする原因となる。

歯垢は歯みがきで落とせるが、歯石はプロでないと落とせない。歯垢や歯石を落とせば、むし歯を予防し、歯肉の炎症が治まる。

さまざまな口腔ケアグッズ

ハブラシの毛先が届きにくいところは、デンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシを使いましょう。

デンタルフロス
  • 歯と歯の間にフロスを入れ、スライドさせながらゆっくり下ろす。
  • 歯に沿わせて、上下に数回動かす。
歯間ブラシ
斜めにゆっくりと差し込み、前後に動かす。
歯間のすき間に合ったサイズのものを。

デンタルフロス

  • ロールタイプ

  • Y字タイプ

  • F字タイプ

歯間ブラシ

毎食後、入れ歯のお手入れを

入れ歯についた汚れをそのままにしておくと、細菌の温床になり、歯ぐきに炎症が起きる原因になります。入れ歯に歯垢がつくと、残っている歯がむし歯や歯周病になりやすいため、つねに清潔にしておくことが大切です。

  • 入れ歯をはずして流水で洗い、専用のブラシで軽くこすります。部分入れ歯の場合はクラスプ(バネ)もていねいに。清掃は、毎食後行います。

  • 寝る前は、を行った後、入れ歯用保存容器などのケースに入れ、水に浸しておきましょう。入れ歯洗浄剤を使用するときは、容器またはコップに水と洗浄剤を入れ、決められた時間、入れ歯を浸しておきます。

高齢者もフッ素は重要!

年齢を重ねると歯ぐきが下がり、セメント質と呼ばれる弱い部分が露出して、むし歯になりやすくなります。また、治療済みの歯もケアが不十分であれば、再びむし歯になってしまいます。高齢者にも、むし歯予防効果のあるフッ素は重要です。フッ素濃度は高いほうが効果はありますので、1000ppm以上のものを選びましょう。
歯みがき後のすすぎは軽く1回、歯みがき後1~2時間は飲食を控えましょう。寝る前に使用すると、フッ素が歯に長く留まるので効果的です。
(注)インプラントの場合は、歯科医に相談してください。

セルフケアとともに大事なことは、定期的に歯科医院を受診し、健診や歯みがき指導を受けることです。その結果が低栄養を防ぎ、健康的で質の高い生活の実現につながります。

ご存じですか?プロのケア

歯科医院では、セルフケアでは取りきれなかった歯垢や歯石を、専門の器具を用いて取り除きます。これを、PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)といいます。
ぜひかかりつけ歯科医を決めて、定期的にケアを受けましょう。

入れ歯を調整して快適に

入れ歯に違和感や痛みなどの不具合はありませんか?
入れ歯だから仕方ないと、がまんしたり、あきらめたりせず、歯科医と相談しながら、快適な入れ歯になるように何度も調整してもらいましょう。たとえ「8020」が達成できなくても、入れ歯でしっかり噛めることが大切です。

お口の悩みは気軽に相談を

歯医者さんはむし歯や歯周病以外でも相談にのってくれます。次のような悩みや不安があるときは相談してみましょう。

  • 口を開閉するときのあごの痛み
  • 噛み具合
  • 飲み込みにくさ
  • 口内炎
  • 口臭
  • 味覚や舌の違和感
  • 口の渇き(唾液の分泌が少ない)
  • 介護が必要な人のお口のケア など

お口のケアでフレイルを防ぐ

新型コロナウイルス感染症対策としての自粛生活が長引いた結果、高齢者の「生活不活発」による健康への影響が心配されています。動かないでいるとフレイルが進み、筋肉量の低下、活動量の減少からますます低栄養になるという悪循環に陥ります。また、抵抗力が低下するため、感染症にかかりやすく、重症化もしやすくなります。
正しい歯みがきとお口まわりのトレーニング、そして1日3食、しっかり噛んで食べることがフレイルを防ぎます。お口の健康を守って、充実した毎日を送りましょう。

セルフケア
プロのケア