インタビュー11インタビュー時年齢:67歳(2017年1月28日)

#02 経管栄養だった1か月の間に水が飲めなくなっていて、朝から晩まで嚥下の訓練をして、ようやくゴックンができた時は感動した。舌が動かないのでご飯も食べるのが難しかった

再生時間:02:15 アップロード日:2017年11月09日

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インタビュー

で、1カ月ぐらいして、その鼻腔、管が取れて、いろいろ、その「お水飲むところから練習してください」っておっしゃるから、ちょっとびっくりしたですね。何でお水を飲む練習なのかなと思いましたら、お水って飲めなくなってたんですよねえ。人間って、あの、ゴックンっていう動作をこんなに簡単に忘れるんだっていうのを、ほんとちょっとびっくりしましたけど。あのー、1口含んだお水をゴックンできなくて、しばらく頑張るんだけど、駄目で、朝から晩まで、そのお水を飲む練習をして、夕方にはめでたくやっとゴックンができたっていう。
 だから、やっぱり、赤ちゃんがゴックンを覚えるというのはすごい能力(笑)なんだなとかね。何かその時は、つくづく感動した記憶がありました。お水が飲めるようになって。
 で、そのぐらい、ここの筋肉を使ってなかったというか、欠損、まあ、欠けて何かこう、なくなってたんだけれども、それがその、どういうことを意味してるかっていうことが、まあ、自分の中でつながってなかったっていうか、はい。

それから、一番、しんどかったのはね、結構ご飯を食べるのが大変で。あの、ご飯に準じてなんですけれども、繊維質のものって、これ、ちゃんとすりつぶさないといけないんですね、多分。で、ご飯をこう、一生懸命こう、かむんだけれども、舌が動かないから、おんなしとこをかんでるから、1口入れたご飯がこう、こなれないわけですよ。それで、しょうがないからこう、何となくこうやって(首を傾げる仕草)、ちょっとご飯の位置変えたりして(笑)、で、でもやっぱり、こう、こなれない状態で。しょうがないからゴックンって飲み込む。
 で、それに準じて、一番しんどいのが、ほうれん草のあの茎の部分が駄目なんですね、やっぱり、すりつぶせなくて。で、軟らかいんだけれども、その繊維がすりつぶせないばっかりに、結局、中途半端な段階でこう、ゴックンって飲み込むっていう、何かそんな苦労を随分したような記憶がありますね。

プロフィール

インタビュー11
インタビュー時年齢:67歳
(2017年1月28日)

首都圏在住。福祉関係の仕事を定年退職して一人暮らし。近所に娘、息子の家族が住む。40歳前後のときに口内炎が治らず、からだに尋常でない重さを感じるようになり、歯科医の紹介で口腔外科に。細胞診の結果、抗がん剤と放射線治療をうけることになり、その後入院。左顎、舌の左側三分の一と、左の喉、鎖骨付近まで切除した。病名は告げられなかったが、後日診断書を見て舌がんと知った。上の歯は全部あるが、下はむし歯のため1本残るのみで入れ歯を使用。現在は元気に日常生活を送っている。